眼科診療と犬の白内障手術  
 
眼科の内科診療と、眼科外科はまぶたや、チェリーアイを含む瞬膜、角膜(角膜移植を除く)の手術や、
白内障手術(白内障手術は当ページの下方でご案内しています)、緑内障手術(レーザー手術、視覚
を失った場合の義眼挿入)などを行っています。
 
眼の病気は私たちが診察する中でも比較的多いものの一つですが、病気によっては失明を含む重大な
結果を招くこともあります。当院では初期治療が特に大切な眼科診療を重視しており、できるだけ多く
の目の病気に対応できるよう、眼科専用の診断機器や治療機器を備えています。動物たちは人のよう
に自分で目の異常や視覚の異常を言葉で訴えないため、気付いた時には病状が悪化・進行していること

も少なくありません。早めの受診を心掛けてあげましょう。>>主な眼科検査のご案内

 
犬の白内障と白内障手術について
 
 
 

当院では、人でよく行なわれる「超音波乳化吸引法」に

よる白内障手術を行なっていますが、これは約4mmという
小さい傷で前房(左図参考)を膨らませながら行なうため、
目に大きなダメージを与えにくい手術法です。 眼内レンズ 
を入れることができれば視覚もほぼ正常に戻ります。 表情
が変わり元気を取り戻した動物と、飼主様の喜ばれたお顔
を拝見する度に、私達も本当に嬉しい気持ちで一杯になり
ます。
 
■白内障では上の図の「水晶体」と呼ばれる部分が、さまざまな原因で濁ってきます。 白内障の進行度
合いや原因によりいろいろな分類があります。

■人では高齢になって現れる「老年性白内障」が多いのに対し、犬では比較的若い頃から現れる遺伝的

な白内障や、別の目の異常に伴って生じる白内障も多いため、手術と手術後の経過に大きな影響を及

ぼす異常がないかどうかを、手術前に十分調べておくことが大切です。 異常があって手術をしても視覚

の回復が望めなさそうな場合や、動物に点眼や投薬ができない場合は原則的に手術を行いません。
■老年性白内障の場合、ごく初期であれば点眼薬により進行をいくらか遅らせる可能性はありますが、白
内障自体を改善させることはできません。 白内障が非常に進行すると、濁った部分が吸収されて透明
な部分が現れ、一見改善したように見えることもあります。
■動物の場合は症状を自覚して病院に行くことができないので、多くの場合は来院時にかなり白内障が
進行しています。
 
 
   
このワンちゃんの目は白く濁っていますが(左写真)、「核硬
化」と呼ばれる水晶体の正常な老化現象で視覚には影響あ
りません。 白内障とよく混同されますが、スリットランプ(右
写真)などで区別することができます。
 
 
   
こちらは糖尿病による白内障です(犬)。 糖尿病による白
内障は比較的進行が早いのですが、網膜など他の部位に
重大な合併症がなく、インスリンで血糖値がある程度うまく
調節されていれば手術することができます。
 
 
  超音波水晶体乳化吸引術による犬の白内障手術例(当院での方法です)  
 
 
手術中の様子(上写真左・中)顕微鏡を見ながら行う、デリケートで非常に細かい手術です。
超音波乳化吸引装置(上右写真)人の眼科で使われているのと同じ装置です。
 
1:まぶた、まぶたの裏側、眼球を消毒し、手術部分が汚染しないよう覆い布などで覆います。
2:角膜を半分の厚さだけ切り、薄いメスで2ヶ所の小さい穴を開けます。
3:水晶体を覆う袋の前部(前嚢)を染色後、切り込みを入れてその穴を慎重にうまく広げます。
犬の前嚢は人のものよりもかなり厚いため、穴を開けるのに少し苦労することがあります。
4:広げた穴に超音波チップを差し込み、超音波で砕きながら硬くなった水晶体を吸引します。
 

5:超音波乳化吸引を行っているところ。 水晶体が硬いと少し時間がかかります。

6:慎重に残りの水晶体を吸引します。 水晶体を覆う袋の後部(後嚢)は非常に薄く、破ると
合併症を招く可能性があるため、細心の注意を払って手術を進めます。

7:大部分の水晶体を取り除いた後、細かい残りの部分を掃除しています。

8:犬用の折りたたみ式眼内レンズ。 目に合わせて2種類の大きさのレンズが市販されています。 

猫も合併症がなければ白内障手術が可能ですが、残念ながら猫用の眼内レンズはありません。
 
9:角膜の傷を少し広げ、挿入器で眼内レンズを水晶体があった袋の中に入れます。
10、11:うまくレンズが挿入されました。 この後、角膜を細い縫合糸で縫って手術は終了です。
 
 
 
 
 Anicomなどいくつかの動物健保では、「白内障手術」が保険適用になります。