歯周病と歯周炎は犬と猫の大きな問題です。歯石除去のすすめ
 
犬と猫が高齢になってから生じる大きな問題の一つに「歯周病」があります。 飼主さんが動物の口の中を 
見ることは案外少ないようですが、2歳齢以上になると90%以上の犬や猫たちが歯周病を抱えているとも
言われます。 特に小型犬と猫の場合は、高齢になってから「口臭がひどい」、「物を食べない」などの理由
で来院されることが多く、すでに歯周病や、よりひどい状態の歯周炎(炎症が顎の骨まで進んで骨が溶け
出した状態)がすでに進行してしまっています。 この段階ではすでに歯を保存するのが難しいことが多く、
脱水や臓器障害を起こしていることも少なくありません。
 
3歳になったダックスフンド゙の歯。 歯石が付き 9歳齢のプードルの歯。 大量の歯石が付着し、
始めています。 まだそれほどひどくはありませ 歯と歯ぐきの間に入り込んでいます(矢印)。 
んが、若い時から継続した歯科ケアを行なって 歯の根元や顎の骨が細菌感染で広範囲に腐
あげると、高齢になっても歯周病が悪化する っており、残念ながら20本近くの歯を抜歯しな
のを相当防ぐことができます。

ければなりませんでした。

 
歯周病から歯周炎に進行した犬の顎の 猫の場合、高齢になってから歯周病がよく問題を引き起こし
レントゲン写真。 ひどい細菌感染の ます。 ひどい口内炎の一因になったり、FOALという厄介な
ため歯の根元と下顎の骨が溶け出して 病変を作ることもあります。 猫は歯磨きがしづらいので、若
います(上写真矢印の黒い部分)。 い時から定期的な歯石除去を受けてあげましょう。
 
  動物病院で行う歯石除去  
 
  歯石除去では表面の目に見える歯石だけでなく、歯ぐきと歯の間(歯周ポケット)に入り込んだ
歯石や、歯ぐきの奥に入り込んだ歯石をきちんと取り除くことが大切です。 ご自宅でできる歯の
ケアは表面だけですので、動物病院で定期的にきちんとした歯科ケアを受けてあげましょう。 処置前
には十分な身体検査と必要に応じて血液検査やレントゲン撮影などを行い、安全に麻酔をかけられる
ことを確認します。 動物の歯石を除去する時には、動かないよう軽い鎮静や麻酔を施す必要がある
ため動物の状態や年齢に応じて、できるだけ短時間で覚める体に影響の少ない麻酔薬や麻酔方法を
選択します。
 
  1.初めに「超音波スケーラー」という器械で、歯の表面
  に付いた歯石を落とします。 水をかけながら、超音波
の細かい振動で歯石を少しづつ砕きながら除去します。
表側だけでなく、歯の裏面の歯石もていねいに落とし
ます。
 
   
2.次に「キュレット」という器具で、歯ぐきと歯の間にある歯石や、歯ぐきの裏の
  壊死組織などを削り取り、その後、歯の表面が滑らかになる処置を施します

(ルートプレーニング)。

 
 
   
3.最後に歯の表面を滑らかにするため、「ポリッシャー」という器械に歯科用の
  研磨剤を付け、全ての歯を磨いた後に消毒を行ないます。 歯ぐきの裏
に隠れた部分の歯もしっかりと磨きます。
 
 
  4.歯石を落としたら、「プローブ」という器具で歯と歯ぐき
  の間の溝(歯周ポケット)の深さと取り残した歯石などが
ないかどうかを調べ、歯周ポケットが深い所には薬剤を
注入します。 歯周病が進行すると、この溝が深くなっ
てきます。 最後に口の中全体を消毒します。
 
●歯石を除去しても数日後には新たな歯石が付き始めます。 処置後の継続したホームケア
  を忘れないようにしましょう。